幼虫や成虫を管理するにあたり、温度管理は重要だということを思い知らされた事がありました。それは、菌糸瓶を使い始めた時のことでした。
菌糸瓶はマットと違い、コバエの発生がなくとても管理しやすいのですが、温度管理をきちんとしてあげないと幼虫を死なせてしまうことにもなるので、注意が必要です。
私が実際にやってしまった事例を紹介します。ニジイロの幼虫12匹をヤフオクで入手しました。幼虫の数だけ菌糸瓶も用意しました。菌糸瓶は輸送中に揺られたりすることで、菌糸が活発になってしまいます。菌糸が落ち着くまで飼育している温度で2~3日置いてから使用しました。いざ菌糸瓶に移すと、順調に潜っていったのでブリードルーム(ビニール温室)に入れました。ブリードルームには電球型ヒーターとサーモスタットで20度に設定していました。毎日確認していましたが、異変には気付くことができませんでした。異変に気づいたのは、菌糸瓶にカビが発生していたのを確認したからです。菌糸瓶をビニール温室から取り出そうとした時に内部が設定温度以上になっている感じがしたので、温度計で測定してみたところ、28度になっていました。なぜ??という気持ちでしたが、とにかくカビが発生している菌糸瓶から幼虫を取り出すことにしました。取り出してみると、12匹のうち、8匹が息絶えていました。原因は、ヒーターと温度センサーの位置が離れすぎていることでした。ビニール温室の最上段にヒーター、最下段にセンサーが配置されたことにより、センサー近くが設定値である20度にならないことで、ヒーターが加温し続けたことにより起きてしまったことでした。熱は上に上がっていきますので、ヒーター近くにあった菌糸瓶が高温にさらされることで、菌糸が活発になり幼虫が酸欠の状態になってしまったようです。このような事を二度と繰り返さないために対策をしました。設定温度ばかり気にして実際の温度を測定していなかったので、温室内の各段に温度計を配置。ヒーターを温室の最下段に移動しセンサーも近くに移動させました。ヒーターの温度設定を19度に変更。そうすることで温室内でも最下段から19度、20度、22度と異なる温度にすることができるようになりました。それからは、幼虫の種類に合わせた温度帯で管理できるようになり、幼虫を死なせることはなくなりました。失敗はしたくはありませんでしたが、失敗から学んだことは多くあり、今のブリードにとても生かされていると思います。